YouTubeは手軽に動画の配信と共有を行うことができ、幅広いユーザーに利用されることから、マーケティングのツールとしても注目を集めています。
この記事ではYouTubeをマーケティングに活用するメリットと具体的な手法、そして成功のために押さえるべきポイントを解説していきます。
コンテンツ
数あるウェブマーケティングの手法の中でも特に注目が集まっているYouTube活用ですが、具体的には次の様なメリットがあります。
一つずつ具体的に見ていきましょう。
動画広告の市場規模は年々に拡大しており、2019年には2592億円にも上りました。
2019年の国内の総広告費が約6.9兆円、インターネット広告費が約2兆円であったことを考えると、インターネット広告全体の約1/8を動画広告が占めていることが分かります。
また、動画広告は広告費の増加速度も著しく、2018年には1843億円でしたので、1年で約1.4倍にも膨れ上がっていることになります。
同じペースで市場規模が拡大していった場合、2023年には5000億円を超える一大市場規模になることが予測され、非常に伸びしろがある分野であるといえるため、YouTubeを活用したマーケティングは将来性という点で大きなメリットが期待できます。
YouTubeは世界全体での利用者が約20億人、国内利用者数が6000万人以上と、非常に巨大なプラットフォームです。
利用するユーザー層も幅広く、10代から60代まで老若男女問わず利用されている点も見逃せません。
ユーザー数の多さと多様さはリーチできる潜在顧客数と言い換えることができます。
日本国内に限っても国民の半数近くが利用しているプラットフォームであると考えれば、YouTubeマーケティングを行わないことは大きな機会損失につながるといっても過言ではありません。
動画コンテンツの大きなメリットとして、伝えられる情報量の多く、訴求力も高いという点が挙げられます。
文字だけで伝えられる情報にはどうしても限りがありますが、動画の場合は動きや音声によってより多くの情報を視聴者に伝えることができます。
さらに、文字のみによる訴求は刺さりづらいユーザーが多くなりますが、動画であれば多くのユーザーに対してより直感的な情報伝達ができるため、共感を獲得しやすく、訴求内容が伝わりやすいというメリットがあります。
YouTubeの優秀な点は、CTA、すなわち次のアクションを促す機能が充実していることです。
プラットフォームによっては、異なるプラットフォームへの遷移に制限があるなど、CTAがしづらい場合があります。
しかし、YouTubeにはYouTubeカードという機能があり、投稿した動画内から直接次のアクションを促すCTAを設置することができるため、シームレスな動線を敷くことができるのです。
YouTubeカードはYouTube内の別の動画だけでなく、外部のウェブサイトへのリンクを貼って誘導したり、アンケートを取ったりと、柔軟な使い方ができる点も大きな魅力となっています。
YouTubeの動画は一度アップロードすれば、規約違反などで削除されたり、チャンネルが凍結されたりすることが無い限り、YouTube上に残り続けるストック型のコンテンツであるため、継続的にマーケティングに活用できる資産として積み上がっていくのが特徴です。
コンテンツの資産価値を高めるためには、アカウントのチャンネル登録者数を増やしたり、YouTube内での
検索順位を上げたりすることで、動画をターゲットユーザーに届けやすくする必要があるため、オウンドメディアを育てるのと同じ様に根気が必要になりますが、その分上手くいった場合には広告費用等をかけずに集客ができるという大きなリターンが得られるでしょう。
YouTubeマーケティングに取り組むメリットとして、SEOやSNS運用といった他のウェブマーケティング手法と相乗効果を得やすいという点があります。
例えば、Google検索でオウンドメディアのコンテンツを上位表示させ、そのコンテンツ内にYouTube動画を埋め込めば、検索エンジン経由でユーザーをYouTubeに流すことができます。
また、埋め込んだYouTube動画が記事コンテンツ内でのユーザーの滞在時間を伸ばすことに貢献すれば、SEO的にポジティブな作用を得られる場合もあるでしょう。
SNSにおいても同様で、動画コンテンツの一部をSNS上にアップし、YouTubeのリンクを貼って誘導することで、SNSアカウントのフォロワーにYouTubeコンテンツを見てもらうことができます。
また反対に、先程紹介したYouTubeカードや、動画概要欄などを活用することで、YouTubeからオウンドメディアやSNSへユーザーを送ることもできるため、複数のプラットフォームを相互活用しやすいというメリットがあります。
YouTubeには「YouTubeアナリティクス」という無料の公式分析ツールがあり、動画のパフォーマンスや広告の収益性といったデータを簡単に閲覧・分析することができます。
マーケティングにおいて最も重要なことのひとつにPDCAを回すことが挙げられますが、YouTubeは改善のための分析データを容易に得ることができるため、課題の抽出し、対策を行うというPDCAサイクルを効率よく回すことが可能です。
以上の様に、YouTubeは市場規模の大きさや潜在顧客数の多さ、機能面でのマーケティングへの活用しやすさなど、様々なメリットがあることがわかります。
それでは続いて、YouTubeをマーケティングにどの様に活用すればよいのか、具体的な手法を紹介します。
YouTubeを活用したマーケティング手法は、大きく次の3つに分類されます。
・チャンネルを運用する
・YouTube広告を活用する
・YouTuberを起用する
それぞれの手法について詳しく解説していきます。
1つ目の手法は、自らのYouTubeチャンネルを開設し、動画コンテンツをアップロードしていくという方法です。
チャンネルを運用して動画をアップロードしていくアップロードしていく手法によって期待できる効果は次の3つです。
まずチャンネル登録によるファン化についてですが、YouTubeにはGoogleアカウントでログインすることで、気に入ったアカウントをお気に入り登録するチャンネル登録という機能があります。
お気に入りに登録されると、新規動画をアップロードした際に通知が届いたり、YouTubeのトップ画面におすすめ動画として自身の動画が表示されやすくなったりするため、より動画を見てもらいやすくすることができるのです。
つまり、お気に入り登録してくれるユーザーとは、継続的にエンゲージメントを築くことができるため、YouTubeチャンネルのお気に入り登録者数を増やすことで、YouTube上で個人や企業、あるいは商品やサービスなどのファンを獲得することできます。
2つ目は、YouTubeにはキーワードによる動画検索機能があるため、検索キーワードのニーズを満たす動画をアップロードし、上位表示させることで、自らのターゲット層であるユーザーに対して効率よくアプローチすることができます。
これについてはSEOと同じ考え方で、プラットフォームがGoogleからYouTubeに、コンテンツがウェブサイトから動画に変わったものと言うことができますね。
3つ目の他のプラットフォームとの併用に関しましては、YouTubeマーケティングのメリットのところで解説した通りです。
動画コンテンツは他のプラットフォームユーザーにも訴求しやすく、YouTubeはCTAの設定もしやすいことから、プラットフォームをまたいでそれぞれのユーザーにアプローチすることができるため、複数の集客チャネルを効率よく利用できます。
この様に、YouTubeチャンネルを運用し、成長させることができれば広告費をかけることなく上記3つのメリットを継続的に得ることができます。
チャンネル運用のデメリットとしましては、1つ目に動画制作のノウハウとコストが必要になることです。
ユーザーのニーズに応える動画の企画は簡単ではありませんし、動画は内製するにしろ外注するにしろ、費用と手間がかかります。
2つ目は、成果が出るまでにはある程度時間がかかるという点です。
SEOのコンテンツマーケティングと同様にチャンネルが人気になって登録者数が増え、YouTube内検索でもコンテンツが上位表示されるまでは、動画はほとんど再生されないため、当然反響もほとんどありません。
YouTubeチャンネルの運用で成果を得るためには、腰を据えて長期的に取り組む必要があるといえるでしょう。
2つ目は、YouTubeを利用しているユーザーに対し、自社の広告を打つという方法です。
YouTube広告は詳細にユーザーのターゲティングができる上に、配信できる広告フォーマットの種類も多く、さらにGoogleディスプレイネットワーク内のウェブサイトやアプリにも広告を配信できるため、YouTubeの外部にまでリーチすることができます。
当然広告費はかかるものの、利用者が多く、ユーザー層の幅も広いYouTube内での広告配信は多くの潜在顧客に対してアプローチできるでしょう。
3つ目は、既に多くのチャンネル登録者数を抱える人気のYouTuberを起用するという手法です。
自らチャンネルを運用し、人気チャンネルに成長させることは簡単ではありません。
予算やノウハウ、コストパフォーマンスなどの観点から、現実的に難しいケースも多いでしょう。
そこで、自社のサービスやプロダクトと関連性の高いジャンルで高い影響力を持つYouTuberにPRを依頼するというわけです。
いわゆるインフルエンサーマーケティングと呼ばれる手法ですね。
メリットとしては、抱えるチャンネル登録者数に応じて多くのユーザーに対してリーチすることができ、さらに人気YouTuberはユーザーとのエンゲージメントも強い傾向があるため、高い訴求力も期待できるという点が挙げられるでしょう。
また、動画の企画や制作ノウハウが無くても、動画制作に長けたYouTuberに企画から依頼することができるというのも大きなメリットです。
デメリットとしましては、起用するYouTuberの影響力に比例して、依頼費用も高額になるという点です。
そのため、PR動画によってどの程度のリターンが見込めるのかをしっかりと検討した上で、費用対効果が見合うかどうかを考慮して依頼することが重要です。
最後に、YouTubeマーケティングを成功させるポイントを見ていきましょう。
YouTubeマーケティングがうまくいくかどうかを左右する重要なポイントとして、次の3つがあります。
一つずつ解説していきます。
1つ目は、ターゲットとすべきユーザーが適切であるかどうかです。
YouTubeに限らずコンテンツマーケティング全般に言えることですが、どの様なコンテンツを発信するかは、全てターゲットとするユーザーのニーズありきになります。
ユーザーのニーズを考えずに発信したいことだけを発信していては、チャンネル登録者は増えませんし、当然成果も得られません。
上記の様なステップで、ターゲットユーザーから逆算してチャンネル運営の方針を決める必要があるのです。
そのためには、最初のステップであるターゲットユーザーがズレないようにしなければなりません。
市場調査やユーザーアンケート、過去の顧客データ等から、適切なターゲット設定を行うようにしましょう。
続いて、適切なターゲティングと同じくらい重要になるのが、どの様な目的を達成するためにYouTubeマーケティングに取り組むのか、そのゴールを明確にすることです。
ブランドの認知拡大をしたいのか、ECサイトへの送客を行いたいのかでは、チャンネルの運営方針や動画の内容、訴求方法等も全く変わってきます。
また、正しくゴールに向かっているかどうかを判断するために必要KPI設定も、そもそもゴールが定まっていなければ行うことができないため、アカウント運営が上手くいっているのかどうかを判断することもできなくなってしまいます。
必ずYouTubeマーケティングに取り組み始める際に、どんなゴールを達成したいのかを明確にするようにしましょう。
YouTubeチャンネルの運用を行う上では、先に紹介したYouTubeアナリティクスを活用しながら動画のパフォーマンスをチェックし、分析と改善策の実行、その検証を繰り返す、PDCAサイクルを回していくことが何より重要になります。
PDCAを回すとはつまり、先に重要な要素として挙げたターゲットユーザーのニーズに沿ったコンテンツを作れているかどうか、ゴールに正しく向かっているかどうかを細かく確認しながら、ズレてしまわないように軌道修正を行っていくことを意味します。
例えば動画の再生数が伸びてきたとしても、ターゲットとして想定したユーザーと実際の視聴者の属性が乖離してしまっている場合、動画の内容がターゲットユーザーのニーズとズレてしまっている可能性が考えられます。
そこで動画の作成方針を修正して投下を行い、再度分析をして検証するというサイクルを回すことで、成果を上げるための正しい方向に向かって運営を行っていくことができるのです。
YouTubeマーケティングのメリットや具体的な手法、成功のためのポイントについて解説しました。
YouTubeは多くのユーザーにアプローチできる可能性がある上に、まだまだ今後の伸びしろも期待できるため、ぜひとも力を入れてマーケティング施策に取り組みたいプラットフォームといえます。
ぜひこの記事で解説した内容を参考にしてみてください。